好きでした、今でも好きです。

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「それにしても、医大に現役で合格するなんてすごいわねえ。うちも鼻高々よ」 「あの……伯母さん」  引きつった笑みで俺はかねてから気になっていたことを訊ねた。 「ここって、東京の駅近なのになんで伯母さんたちはこの家に住まないでアパートを借りて暮らしているんですか?」  ピタリ、と引っ越しの手伝いをしてくれていた伯母さんの動きが止まった。 ああ、そういうことか。と俺は納得をする。 容易に予測はついた。後はそれを確かめるだけだ。 「……この家、出るんですね?」  何が出るのか、言うまでもない。 恐らくそれは、狐とか最近都会でよく見かけるムジナの類ではないだろう。 「大丈夫ですよ、別に怒りませんから。実は俺も、噂には聞いていたんです。伯母さんがおススメしないって云っていたのを無理に押し切ったのはこちらですから」 「……実は……」  そうして、怖がりな伯母さんは口火を切って話し始めた。 軽率にも俺が住むことを決めたこの建物に伝わる、ちょっとオカルトな噂を。 「うちの血縁がこの屋敷で生活するとね、どうしても……出るのよ。どこからか声が聞こえたり、誰もいない場所から視線を感じたり、不幸な目に遭ったり。 誰か先祖が祟りでも起きるような何かをしたんじゃないかってみんなで云っているんだけどね? だから、頼道くんにはこの家は勧めたくなかったんだけど……」
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