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「いずれするよ。今日明日ではないけど!」
「秋までは我慢しろ。俺が海外行った後は他のヤツにバトンタッチするから。後はそいつと話し合うか、お前の叔父貴の指示を仰げ」
「どうしてそこまでしてくれんの?」
「決まってるだろ」仁は断言する。
「尾上先生の口利きで、先生だけではなく学長からも一筆もらえることになった。その分の義理は返さないとな」
「そんなに――紹介って大事なの?」
「お子様のお前にはわかんないだろうな」
「わかってるよ。叔父さんのゼミに通えば優良企業に必ず就職できるって。みんな叔父さんの口利きでいいところへ行った。そうでしょ?」
「は? お前、何言ってる」
「あんたもその内のひとりなんだ。コネが大切。よっくわかった」
裕はテキストとCDを手持ちのバッグに放り込み、立ち上がる。
「もう、いい? 私、帰りたいんだけど。予定になかった宿題たくさん出たし。毎日やることいっぱいだし。今日は早く帰るように下宿先に言われてるの。居候だから心配かけたくないから」
裕は、仁はさくっと無視し、功には深々とお辞儀をして、たかたかと外へ飛び出した。
「……あいつ、何言ってんだ?」彼女が去った方を見て、仁は頭をかく。
「うーん、それ知ってどうすんの?」にこにこと功は言い返す。
「お前はわかってんのかよ」
「そうねえ、仁はどう思うのさ?」
「知るかよ」
うーんと背伸びし、仁は手近な椅子にどっかりと座る。
「あー、めんどくせ。女は超めんどくせー」
「その面倒な相手と付き合ってるのはどこの誰?」
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