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「え、だって、あんた全部読めってゆった」
「ああ、言った。でも、もういい」
「何で」
「こういうことか……」仁は頤を支えながら頷く。
「先生が何で俺にレクチャーしろって言ったのか、よっくわかった」
「わかったって。まだほとんど読んでないんだけど!」
「わかるんだよ、最後まで読まなくても。お前の音読は言語としての英語がまったくわかってない人間の読み方だ」
そりゃ、英語苦手だけど。そんな言い方ないじゃない?
裕は少なからず傷付いた。もちろん言い返す。
「じゃ、あんたは何がわかったての?」
「年長者を、あんたと言うな、バカ」
「そっちこそ、人のことバカって言わないで!」
「芽が出たら言わないでおいてやる。いいか、語学力のレベルを測るのに原文を口に出して読ませるのが一番わかりやすい。何でかわかるか? 言葉には全て意味がある。自分以外の他人に自分の意志を伝える為に、人は言葉でコミュニケーションを取る。相手にわかるように、一定のルールで使わないと、言葉は意味を持たない。お前は、単語はさすがに目で追えるようだが前後のつながりを持った言葉として捉えられていない。ありえないところで言葉を切ったり、繋げたりしてる。話し言葉としてこれでは会話が成立しないし、そもそも意味がわかっちゃいない。違うか?」
「そ、それは……」もごもごと裕は口ごもる。
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