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「毎年ね、何名か落ちこぼれ君のレスキュー役をね、仁が引き受けてるの。去年はすごかったよねー、えっと何人いたっけ?」
「教えたく、ない」仁はムスッとして答える。
「尾上先生――君からは叔父さんにあたるんだよね。先生から特命を受けてレクチャーするんだ。自分からスポイルする子以外で単位落とす学生は今まで1人もいないの。君も安心してまかされるといいよ」
「こいつが初めての、単位を落とす奴になるかもしれん」
仁はさらに不機嫌そうに加えた。
「どして?」
「今年は、時間がない」
「そうだね。君、留学しちゃうもんね」
「正味半年未満で何ができる?」
「うーん、そうだねえ、でも、今のところレクチャーするの1人なんだろ?」
「ああ」
「じゃ、大丈夫だよ、あんたならできるさ」
「反対に、今年の新入生はこいつ以外は全員及第だったってことじゃないのか?」
ううう。あんまりだわ。ホントに私、バカなんだろうか。
――まぐれで合格したのかな。
うつむいた彼女の前に、薄いテキストが3冊、CDが3枚出される。
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