4人が本棚に入れています
本棚に追加
「何……これ」
「ラジオ講座のテキストとCD。数年前のだけどまだまだ使える」と仁。
「教材用意しとけ、ってこいつに言われてね、それで、僕、ここ待たされてたの」にっこり笑って功が言った。
「何で南井さんが言われた通りに待ってたんです?」
「僕、時々、司書のバイトしてるんだ」
ホントかしら。
裕は手に持つテキストをまじまじと見る。
テキストの表題は基礎英語。1年、2年、3年でそれぞれ4月号だ。
「それ、学校のね、備品なのね。毎年こいつが面倒みる学生用に、図書館で保管してるの。今日は図書館は行事があるからお休みなんだよね。だから司書から鍵を預かって待ち構えていたってわけ」
「基礎って……中学英語?」裕は隣の仁に問う。
「そ」仁はあっさり返す。
「ちゅうがくせいから、やり直せ、っての?」
「そう。基礎がなってないから、やり直す」
「そこまでっ! 何で私がっ!」
「1回15分。いいか、それぞれの単元を必ず毎日やるんだ」
「それだけで45分?」
「そ。一緒に、今放送してる奴もチェックしとけ。1年、2年、3年、全部」
「それも45分?」
「そう。休みなしで1時間半だな」
「毎日?」
「そう、毎日」
「休めないじゃん!」
「大丈夫、ラジオ分土日はやってないから、その分は休めるぞー。良かったな」
「良くない! 1年から3年までやれっていうなら、CD版だけで充分じゃないの?」
「へりくつはいいから、まず始めてみよう、とは思わないわけ? 中一からの振り返りなら簡単だろ」
「だって!」
最初のコメントを投稿しよう!