第1章

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一見して高校生とわかる彼らは、大学附属高校の制服がとてもまぶしかった。 慎一郎が言うには、時々特別補講をしているという。 ふーん? 大学の先生が高校生の補講引き受けるなんて。叔父さんも面白いことする。高校じゃなくって大学までやってきてるなら、この人たち、特別なんだ。 彼らは裕が通う学校の同級生や先輩よりも数段以上かっこよく見えた。 名門白鳳の制服は男子女子共に人気が高い。 白鳳の学生服は裕の両親が通っていた頃から全く変わっていない。今となってはクラシカルな印象はあるが、その古さが憧れのアイコンとなることもある。 女子は漆黒の生地のセーラー服。襟のラインは白で、中学部と高等部ではスカーフの色が違う。 対する男子は濃紺で、表にボタンがない、蛇腹の詰め襟と呼ばれる旧海軍の制服を模したもの。丈が一般的な学生服より短く、着る人を選ぶデザインだ。 その装いが4人とも似合っていて、これぞ白鳳ボーイと言い切ってもいいくらいだった。 ――もし、私がここに入れていたら、黒襟に白い線が入ったセーラー服着れたんだ。いいなあ、着たかったなあ。 裕が着ている紺色のアンサンブルがどこか幼稚に見えた。スカートをぎゅっと握り締め、気後れを感じた時だった。 「わあ、君、きれいだね!」 と声をかけられた。 反射的に顔を向けた先にいたのは、きらきらとした笑顔がまぶしい生徒だった。 女の子? 裕は目を瞬かせる。
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