追想

6/11
前へ
/400ページ
次へ
刹那、アルバは声にならない悲鳴を上げた。彼の住む村は小さな、けれど平和な村だった。それなのに今は、グール(食人鬼)達が村人へと襲いかかり食らいついている。 (どうして、どうして、どうして……どうして!?) この村に、魔法が使える者はいない。だから村人も、そして母もただ逃げることしか出来ない。 けれど、それも長くは続かず――スカートを掴まれ、強く引っ張られた母はそのまま転んでしまった。その勢いで、アルバも一緒に地面に転がる。痛かったがそれよりも、慌てて離れていく母へと手を伸ばした。
/400ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1191人が本棚に入れています
本棚に追加