ep.6 新しさと懐かしさ

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RedWindに到着し、BRZをいつもの来客用の駐車エリアに止めた。 エンジンを止めて降りると、ガレージの横に佇む真っ赤なクルマが、まるで吸い寄せられたかのように眼に入った。 色褪せこそはしているが、真っ赤なボディはロングノーズとリトラクタブルヘッドライトという特徴を持つ。昭和の時代にデザインされたのにも関わらず、古くささは微塵も感じない。 FC3S後期。俊哉は平成生まれであるが、そのクルマに懐かしさを覚えていた。 かつて姉から託され、我が手のように動かすことが出来たクルマだ。 そのFCは不慮の事故により鉄くずと化してしまったが、培ったドライビングは今も生きて繋がっている。 「よう。待ってたぜ」 柳瀬が現れた。RedWindのポロシャツはいつも通り。 「あれが例のクルマだ。ボディの状態は塗装以外、悪くは無いんだが、あいにくエンジンが終了のお知らせなんだ」 手に持つ見覚えのあるキーを握りなおすと、FCのロックを外してドアを開け、ボンネットのロックを開けた。 俊哉が中のレバーを引き上げてボンネットを開けた。この軽さはアルミだろう。 カップリングファンの向こうに鎮座する13B。インタークーラーが真上に置かれ、赤いROTARY TURBOの文字が誇らしげだ。 「セル回すよ」 返事をすると、セルが回り出す。しかし、そのセルは勢いが良すぎる。エンジンが圧縮していないことは本当のようだ。 「アペックスシールでしょうね。十中八九おそらく」 震えるエンジンが止まる。回る気が無い13Bはただ沈黙した。 キーを抜いた柳瀬はドアを閉めてもたれ掛かる。 「で、本題だ。こいつで走る気は無いか?」 「は?」
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