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二人で向かったのはRedWind。いつもと違う、シャッターの閉まったガレージの前にBRZを止めた。
エンジンを止めて降りると、ガラガラとシャッターが開いて柳瀬が顔を出した。
「よう。載せ替えは終わってるぜ。ご希望通り、ノーマルでな」
中に招き入れられると、クリアがはげてくすんだ色のボンネットを外されたFCが広いガレージの一角に居た。
純正のアルミのインタークーラー、黒いゴムパイプ、見紛うことなどないノーマルのエンジンルーム。
リジットラックに乗せられ、ポテンザG3を履いていたスパルコのホイールは外されている。
「御堂弟、あのFCに載っていた13Bだ。そいつをオーバーホールしてな。だから……」
柳瀬はバッテリーの端子を付け、キーシリンダーを回した。
軽く回るセル。カップリングファンがスルスルと回り、13Bに火が入った。
「しっかり圧縮して回ってくれる」
少し振動して、少しばかり失火している感じがするが、滑らかなアイドリングはかつての相棒を思い出す。
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