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美波は助手席側からエンジンルームに腕を突っ込み、俊哉は寝板に寝そべり下からアプローチする。
13Bはプラグが四本有り、一つのハウジングに付きリーディング側とトレーリング側が存在する。
プラグコードは上下で青と黒に別れてはいたが、フロント側、リヤ側は一見で分かるようになっていない。なので、リヤ側のプラグコードにマスキングテープを巻くことにした。
「水平対向より楽~」
「あれ以上に車載状態でプラグ交換が面倒なクルマって有るのか?」
「知らなーい。最近、直列ばっかだったから、面倒に感じちゃう」
二人でやればすぐに外せる。二つ外せば良いのだから。
配管やら配線やらで作業スペースが狭いが、ラチェットの1ノッチでも回せれば十分だ。レンチでトルクを抜いてやって、あとは素手で丁寧に回して外す。
「取れたよ」
「ああ。こっちももうすぐだ」
ものの10分でプラグが外れる。プラグも電極の上に接地が伸びているタイプでは無く、13Bは接地を十字に溝を掘って真ん中に電極を生やしたような形だ。
トレーリング側が9番、リーディング側が7番。純正の番手である。
しかし、プラグの状態はあまりよろしくない状態だ。
「うわ真っ黒……」
四本とも、黒ずんだカーボンがびっしりと付着している。レシプロならライターであぶって軽くカーボンを焼いてやれば良いのだが、ロータリーのプラグはそうはいかない。
僅かでもプラグの調子が悪くなれば、調子を崩す。点火系に関してはナイーヴななのだ。
よって、こいつは交換することにする。
幸いにして、柳瀬から新品のプラグを預かっている。7番と9番を二本ずつ。
素手でプラグホールに差し込んで回していく。着座してからレンチで4分の3回転締め込む。
リーディング側を俊哉、トレーリング側を美波が引き続き担当した。
「よし、次は暖気後、アイドル調整だ」
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