ep.7 始動

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鼻先を近づけて煽ってくる。下品な煽り方だ。ステアリングの切り方と左右に揺れるサスの動きはただタイヤに無理を掛けているだけだ。 「付き合う気は無いよ~」 見通しの良い場所でハザードを出して左端に寄せ、ランエボに譲る。ランエボはブローオフバルブの音を誇示するように響かせて追い越していった。 ボディを引っかけるようなピッチングのブレーキングの後、フロントタイヤのみを鳴らしてコーナーを曲がっていく。 「そういえばアコードが居たね~。ちょっと様子見してみようかな~」 SIドライブをS♯に切り替えた。 コーナー処理を終えてスッとシフトをMレンジに入れ、左のパドルシフトを連打して固定段の三速に叩き込みアクセルを踏み込んだ。 ダッシュボード上のマルチファンクションディスプレイのブースト計が立ち上がる。ジェントルな音から力強い吸気音でボディの重さを感じさせない加速をする。 低い回転からだったので短いストレートで吹けきることはないが、ギヤはこのまま固定で良い。 一気に踏むのではなく、リヤにも仕事をさせるブレーキングで四輪を沈ませ、止めるブレーキングで曲がるようにしてからステアリングを切り込む。 クルマは曲げるモノじゃ無い。曲がるモノである。最低限の舵角で最大の旋回を。 切り返しも無理せず自然に従ってステアリングを切り込む。
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