ep.7 始動

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ヘアピンコーナーを抜けた。その時、アコードが思いっきりレブに当てた。 H22Aの絶叫が木霊する。センターから出たマフラーからバーナーのようにアフターファイヤーが放たれた。 ランエボが失速する。エンジンブローしたようにガクンと躓いたようにつんのめる。ガクガクとボディを前後させて止まりかける。 アコードはVTECをハイカムに乗せ、一気にストレートを加速する。セルを回してようやくエンジンが掛かったランエボを悠々とパスし、鋭く加速する。 三速で吹けきる辺りでフロントに乗せるブレーキングでインのラインをなぞる。車線を維持しつつリヤ荷重を残して食いつかせ、S字の切り返しが迫る。 フロント重心がSTIのフレキシブルタワーバーを通って反対のビルシュタインサスに伝わる。 前後のモーメントが左右に切り替わる。シートが滑る。この程度なら感覚とクルマの動きのズレの修正は容易だ。 ロールでスライドをコントロールして姿勢を手中にして立ち上がった。ストレートの先にアコードのテールが見えた。 「面白いの魅せて貰ったな~」 キレよくコーナーに切り込むアコードのエキゾーストと綺麗な姿勢を、敬意を表して遠くから眺める。こちらのペースを悟らせない配慮であった。 ロールすら許さない切り込み。重量の割に軽く感じるクルマだ。フロントが引っ張ってリヤが着いていく動きはFFを理解している、熟知している走りだった。 そろそろ油温が危ないだろう。SIドライブをIに切り替え、Dレンジに入れて遊びを終えた。 ランエボは姿を見せない。力の差を見せつけられて意気消沈してしまったのだろうか。 「若者よ、理解しなきゃダメだよ~」 アコードも見えなくなった。甲高いエキゾーストは木霊していた。 T字路を左折した。遊園地から通学路に戻ったような感覚になったのは、合流したプリウスの速度変化が著しいと感じてからだった。
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