ある日曜の昼下がり

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 そんな事を考えながらふかすタバコは、何とも味気ないものだ。  バタンと音を立て玄関が開き、程なくして妻がリビングへやって来た。 「ちょっとアナタ! 起きたなら聞いて下さい!」  そう言いながら、キッチンに立つ私に目を向けた。  お互いの目が合う。 「何してるんです?」  妻の問に、私はどもりながらも今まで考えていた事を話した。 「それは、あの子の部屋から出てきたので、アナタに叱ってもらおうと思って置いてたんですッ! あの子まだ高校生だって言うのにタバコなんて吸って」 「それじゃ、プロボーズの返事に掛けた三行半ってのは?」 「あの時は、気の利いた返事が思いつかなくて、それで慌てて言っただけですよ。 それなのに勝手に勘違いした挙句、チャッカリ息子の買ってきたタバコをふかして… それに仕事が忙しいって嘘言ってたんですか?」  説教をしながら、妻は私に詰め寄る。  藪蛇だった。  もう少し寝ていれば、タバコに火を付けるのに躊躇っていれば… 「そんな、私が忘るれてるよなプロポーズの返事覚えてる人を、捨てられるわけ無いでしょう」  私はごめんと言いながら、水道の水でタバコの火を消した。  チュッ
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