No.1 「代償はお前だ」

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昼の刻、大広間にて。 畳が広々と敷かれる空間に、向かい合わせに12人のお妃様。 その端と端に、あの皇帝と私が向き合う。 運ばれてきた食事に手をつける前に、妃候補の鋭い言葉が飛び交う。 「何、その薄汚れた服」 「身分名乗りなさいよ」 「同じ場所で食べるなんて、汚いものが口に紛れそうだわ」 極めつけに、最奥にいる皇帝の冷酷な目が私を捉える。 真紅の髪に、吊り目がちな瞳。鼻筋が通った顔立ち。その存在は静かに佇まいしていても存在感ある容姿だ。 美しい、というのだろうか。 見た目だけで言えば、とてつもなく、儚さと妖艶さを持っている人だ。 見た目だけで言えば。 「第13妃、俺が与えた服はどうした」 「……華やかなものは苦手でして」 皇帝の圧が肌に緊張を与える。 目を逸らして答えるので精一杯だ。 「……愚かだな」 「えっーーーーっ、?!」 僅かに吐き出された言葉を聞き取ることが出来ずに、聞き返そうとした時だった。 バシャン、と乾いた水音が響き、髪から水滴が落ちる。 ヒヤリと頬が冷たい。何これ。何が起こったの。
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