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「水でも目が覚めないの? ーー起こしてあげるわ」
「!」
すっ、と目の前に現れた美しい何番目かの妃の人が、私を見下して笑った。
それはほんの一瞬で、今度は熱い液体が頭にかかった。
更に間髪入れず腹の真ん中に彼女の足蹴りを貰い、私は「ぐっ」と鈍い声を発し、有無を言わさず畳に倒れ込んだ。
(足蹴りくらい、セリならかわせたでしょ。なにボーッとしてんの)
頭の中に聞こえるユザが、ため息をついて呆れている。
うるさいな。わかってるよ。
味噌の匂いがするから、たぶん私は味噌汁をぶっかけられたんだ、と畳に倒れたままで理解した。
こんな時にも冷静でいられる自分は鍛えられてるなぁとは思う。
味噌汁を私にかけた彼女は仁王立ちして私を睨んだ。
「貴女、身分を名乗りなさい。どこからきたの」
「……名乗るほどのところではありません。」
「…そう。どこのご身分にしろ、ザクロ様が折角ご用意して下さったものをぞんざいに扱うなんて…ね!!」
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