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ローザは仕事を終えると、いつものように、知り合いが集まるバーに向かった。
その店に行くと、時間つぶしに付き合ってくれる誰かに会える。
そこにいるのは、エレンという名の女性を知らない、プライベートを詮索せずに付き合える友人たちだ。
店を出て数分後、ローザは一人の男に声をかけられた。
「やぁ、」
よくあることだ。
無視して通り過ぎようとした。
「すみません、エレン・オーウェンさん」
驚いて振り返った。
彼は、ローザの本名を知っている。
「僕はジャック・ニコルソンです。アダムスさんからの言伝てを持って来ました」
「え?」
「誰かに見られているかもしれません。とにかく歩きましょう」
ジャックはローザの耳元でそう言うと、肩を抱いて歩き出した。
「ドイツがログノフの存在に気づきました。ただ、確証は持っていないようで、今恋人であるあなたも調べられています」
「え?」
「つけられているかもしれないんですよ」
ローザは頭が真っ白になった。
「もしログノフがスパイだと白日の下にさらされたら…もしかしたらあなたにまで危険が及ぶかもしれない…」
その様子をミハイルが少し離れた場所から見ていた。
ローザが男と恋人のように寄り添って歩いている。
少し怯んだ。
たが、その後ろから、怪しい男が二人をつけているのが見えた。
「ローザ!」
ミハイルが叫ぶと、怪しい男はミハイルを振り返り、そして足早に去って行った。
ジャックはミハイルの顔を見ると、エレンの耳元でささやいた。
「僕は去ります。友達のように、笑顔で手を振って下さい」
そして手を振りながら足早に立ち去った。
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