【9】本当に好きなのは…

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「拓海、おはよう。」 「……おはよう。」 今朝も、いつものように家族四人で、朝食を食べる。 香ばしいトーストと、ベーコン入りの目玉焼きの香り。 普段なら食欲をそそられるその香りさえも、今の俺には何の魅力も感じない。 「……ごちそうさま。」 「お兄ちゃん? 目玉焼きが残ってるよ?」 「……奈々、それ好きだろ? 今日はお前にやるよ。」 「本当!? やった~!!」 奈々に真実を知られたくない俺は……。 何事も無かったかのように、振る舞う決心をした。
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