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「ボク、昨日さ小早太郎の先祖の信濃の早太郎の話を調べたんだけど、妖怪退治をしたすごい山犬だったんだね!」
次の日の二時休み、蒼多は昔ばなしの本を読んでいる雅に話しかけた。
雅は嬉しそうに本を閉じて蒼多を見る。
「そうなんだよ。“霊犬早太郎”の子孫とは思えない食い意地張っている奴なんだけどさ。意外に勘の鋭い犬だから頼りになるよ」
「ところで雅君は何の話を読んでいるの?」
「読んでいるというより、調べているんだ。カワランベーの話を」
そう言って、雅は蒼多に読んでいるページを見せる。開かれたページには綺麗な朱色のお膳やお椀を着物を着た女の人に渡している河童の絵が描かれていた。
「これがカワランベーだよね?」
蒼多が河童の絵を指さす。
「うん。まぁ、君はカワランベーの話が伝わるこの地に住む人だから、調べなくても知っているか」
「でもボク、小さい頃に話を聞いただけで詳しくは覚えてないよ。だから、ちょっと確認がてらその本を読ませてくれないかな?」
「いいよ」
雅はそう言うと、蒼多に本を渡した。蒼多は「ありがとう」と言い、早速カワランベーの話を読み始めた。
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