次の日の学校

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「カワランベー。昔、信州の和合川に、一匹のカワランベーが住んでいた。この河童は、立派なお膳やお椀を必要なだけ貸してくれるので、村人達から大変ありがたられていた。」 「ある日、長者の使用人である子守娘が、顔にできたイボが治らず困っていた。そこで「イボに効く」というカワランベーのいる黒淵の水で顔を洗わせてもらおうと出掛けた。」 「カワランベーは、子守娘に快く水を使わせてあげたが、子守娘の前歯が折れていた事を冗談で冷やかした。」 「しばらくして、長者が借りていたお膳を返すことになり、子守娘が持っていくことになった。カワランベーの好物である冷たいみそ汁も一緒に運んでいたが、その途中、道端に生えていた蓼(タデ)の葉をこっそり仕返しで入れた。」 「カワランベーは、好物のみそ汁を何の疑いもなくゴクリと飲み込んだ。しかし、カワランベーにとってタデの葉はとても辛く、喉を焼き焦がすものだった。口から黒い煙を吐ながら苦しみもだえ、空に黒雲を呼び嵐を起こし川を氾濫させ、大暴れした。」 「それ以来、カワランベーは姿を消した。そして村人たちは、二度と椀や膳を借りる事が出来なくなってしまった。」 蒼多は静かに本を読むと、「ありがとう」と言って雅に本を返した。
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