放課後

2/6
前へ
/30ページ
次へ
「早速、カワランベーを探しに二篠山へ登るの?」 帰りの会が終わった教室。残っているのは蒼多と雅だけ。 「本当はそうしたいんだけど、どうやったらカワランベーを見ることができるのか調べないといけない」 雅の言葉を聞いて、蒼多は「あ……」と気づく。 そういえば、ボクは河童を含め、妖怪といったものを見たことが今まで1度もないや。 蒼多は1番肝心なことを思い出した。 「でも、雅君が「カラス達がカワランベーを見た」って言っていたよね?」 「そうなんだ。だから、動物がカワランベーを見ることができるのなら、同じ動物である人間も見ることができると思うんだ」 「そっか、そうだよね!それで、どうやって調べるの?」 蒼多の言葉を聞き、雅は黒のランドセルから聞き耳頭巾を取り出した。 「動物達から聞く。それが1番手っ取り早い」 「ねぇ、ボクも付いていってもいい?」 「もちろんいいよ」 雅は聞き耳頭巾をまたランドセルの中に入れる。 「これから、彼女の縄張りに行こうと思っているんだ」 雅はランドセルを持って立ち上がる。蒼多も慌てて立ちながら、ランドセルを背負う。 「彼女?縄張り?」 「そう。彼女の名前はモモ。こっちが丁寧な対応すれば大丈夫だから」 蒼多には正直さっぱり分からなかったが、 とりあえず雅君と一緒に行けば大丈夫だろう。 という思いがあったので、雅の後についていった。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加