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「早速、カワランベーを探しに二篠山へ登るの?」
帰りの会が終わった教室。残っているのは蒼多と雅だけ。
「本当はそうしたいんだけど、どうやったらカワランベーを見ることができるのか調べないといけない」
雅の言葉を聞いて、蒼多は「あ……」と気づく。
そういえば、ボクは河童を含め、妖怪といったものを見たことが今まで1度もないや。
蒼多は1番肝心なことを思い出した。
「でも、雅君が「カラス達がカワランベーを見た」って言っていたよね?」
「そうなんだ。だから、動物がカワランベーを見ることができるのなら、同じ動物である人間も見ることができると思うんだ」
「そっか、そうだよね!それで、どうやって調べるの?」
蒼多の言葉を聞き、雅は黒のランドセルから聞き耳頭巾を取り出した。
「動物達から聞く。それが1番手っ取り早い」
「ねぇ、ボクも付いていってもいい?」
「もちろんいいよ」
雅は聞き耳頭巾をまたランドセルの中に入れる。
「これから、彼女の縄張りに行こうと思っているんだ」
雅はランドセルを持って立ち上がる。蒼多も慌てて立ちながら、ランドセルを背負う。
「彼女?縄張り?」
「そう。彼女の名前はモモ。こっちが丁寧な対応すれば大丈夫だから」
蒼多には正直さっぱり分からなかったが、
とりあえず雅君と一緒に行けば大丈夫だろう。
という思いがあったので、雅の後についていった。
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