放課後

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蒼多と雅は学校のすぐ近くにある空き地に来た。 「ここが雅君が言っていた彼女の縄張り?」 蒼多はキョロキョロ見ながら雅に聞いた。 「そう。あ、そうだ。今から会う彼女はカラスなんだが」 雅もキョロキョロしながら答える。どうやらまだ見当たらないようだ。雅は聞き耳頭巾を被った。 「彼女には黒の言葉はもちろん、黒に関する言葉は一切言わないで欲しい。彼女、モモは黒が嫌いなんだ。俺達は聞き耳頭巾を使わなきゃ動物達の声は聞こえないけど、動物達は人間が何を話しているか理解しているから、マズイことは言わないで欲しい」 雅は蒼多に頼んだ。 「……分かった。黒が嫌いだからモモっていう名前なんだね」 「いや、違う。モモ自身は黒が嫌いだから好きな色の名前を付けてもらったと思っているけど、桃の実をいたずらでつついているのを見たから、俺がそう名付けた」 「……それもモモさんには言えないことだね」 「言ったら多分、もう口も聞いてもらえないから言わないで欲しい。あ、あと俺達はメモで会話のやり取りをするかもしれない」 雅はランドセルからノートと鉛筆を出した。 「モモに聞かれたらよくないこととかも出てくるかもしれないからさ」 「分かった」 するとその時、1羽のカラスが雅と蒼多の近くにやって来た。 「あ、モモ」 雅が言うと、そのカラスは2人に近づいてきた。 ボクはなるべく静かにしていよう……。 蒼多は雅のやり取りを見ることにした。
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