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「……で、どうだった?聞き耳頭巾は?」
雅は早速蒼多に問いかけた。
「これ、すごいね!貸してくれてありがとう!聞き耳頭巾って本当にあるんだね!」
蒼多は聞き耳頭巾を雅に返しながら、目を輝かせて言う。
「……やっぱり君はこの宝探しに向いているな」
雅がボソッとつぶやくが、蒼多には聞こえていない。
「昔ばなしに出てくる宝物って本当にあるんだね!ボク知らなかったよ!」
蒼多は興奮して話す。その瞬間、雅の目が輝いた。
「そうなんだよ!で、この聞き耳頭巾と共に俺の家に伝わる言葉、“先人たちから伝えられた宝達は信じて使わなければならぬ”が重要なんだ。聞き耳頭巾は被ったら動植物の声が聞こえると信じて使わなければ、能力が発揮されないんだ!君なら聞き耳頭巾を使えると思っていたよ」
雅は優しく笑った。
「……でも、何でボクに聞き耳頭巾があることを教えてくれたの?大切な宝物だから、あまり他人に知られたらマズイんじゃないの?」
蒼多の言葉を聞いた雅が悲しげに笑った。
「言っただろう?“先人たちから伝えられた宝達は信じて使わなければならぬ”って。この聞き耳頭巾は俺の家にあったけど、誰も信じていなかったから代々伝わるただのボロ頭巾として置いてあったんだ。信じなければ宝の意味がないからね。だから君が俺の話を信じなければ使うことはできなかったんだ。聞き耳頭巾が俺以外の人の話を信じる心を持つ人にも使うことができるかどうか確かめたくて君を誘ったんだ」
「……で、ボクにも使えることができた」
「君は俺が思っていた通りの人だよ。ねぇ、また話を続けていい?」
雅は蒼多に了承を得ようとした。しかし、蒼多が「いいよ」と言った瞬間に、雅は話を始めてしまった。
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