11.純白な彼女

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体育の内容はバスケだった。 特進クラスと普通クラスの混合でチーム編成し、繰り返しゲームをするっていうゆとり授業。 中にはサボる奴もいる。 大学受験に影響しない体育は日頃勉強に追われている俺らにとって息抜き+お遊び感覚にすぎない。 現にこの学校はそこらへん緩い。 推薦枠なんて極わずかだし、実力勝負がほとんど。だから試験必須科目だけはしっかりやれよって感じだし、先生たちも完全スル―で見て見ぬふりらしい。 そういう緩さが俺は好きだ。 試合を終え、別のチームに代わると、いつものメンバーも空きの時間ということもあり、いつものたまり場でもある体育館裏の階段に集合する形となった。 「あっちぃ…。喉渇いたー。 怜斗、俺にも頂戴それ」 「ん」 健にペットボトルのお茶を渡す。 体を冷やすにはもってこいの場所。 「女子の皆さんは外で体育か~。 こんなクソ熱いのに」 健のぼやきに誰かが反応する。 「でもさ、運動後のほんのり出る汗ってなんか良くね?」 「その表現キモいって。 でも確かに良いよな」 ギャハハと女子の話で盛り上がる男集団を横目に、床に寝ころんだまま風を待つ。 …こういう女子の話題は向こう(海外)もこっち(日本)も大差ないな。 でも、こっちの男の方が消極的な気がする。   草食系男子って言われている時代だからな。 別に日本と海外を比較したいわけではないけれど、新たな発見になるから意外に面白かったりする。 そんな俺は日本がやっぱり一番好き。 流れる血は日本の血だし。 「あ、白河さんだ」 健の声に思わず瞼を開いた。 反射的に身体が反応してしまった。
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