11.純白な彼女

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蕁麻疹…。 突然に発生し、非常に痒みの強い皮膚病。皮疹が部分的、あるいは全身にめまぐるしく出現するやっかいものだ。 親戚の一人が小さい頃に蕁麻疹に苦しめられ、そのひどさを知ってるからか、聞いていい気はしない。 「それ、本当なのか?」 「噂だけどな。 男子と話すところなんて一度も見たことないし、そうなると納得できるだろ?」 「……」 「でも、俺とはよく話してくれるんだよな」 「健が自ら話に行くだけじゃん。 しつこいぐらいに」 「そーだけど。 でも俺に笑いかけてくれるし。 怖がる様子もないし、むしろ楽しんでくれてるから」 健はわざとと言わんばかりに挑発してくる。 「健、その辺にしとけよ。 怜斗のアホ面見れたしもういいじゃん」 「アホ面って…」 こいつら、絶対俺の反応で楽しんでるだろ。 「俺ら協力するし。 頑張れよ」 「ばっ、やめろって! そんなことされても向こうが困るだけだろ。 蕁麻疹が出るほど男嫌いなんだ。 俺がトリガーにでもなってみろよ」 想像しただけで最悪だ。 「……だな」 「考えなしに安易な考えで行動しても、必ずしもそれが思い通りになるわけじゃない。 相手を傷つける事実の方が大きいんだよ。 お前らもそれぐらいわかるだろ?」 「…ああ、軽率だった。ごめん」
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