11.純白な彼女

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冗談じゃないと言わんばかりに、思わず湿っぽい空気にしてしまった。 隣でしょんぼりする健を見て、少し言い過ぎてしまったと後悔した…が。 「要は傷つけないようにすればいいってことだろ?」 「…は?」 「大丈夫だって。 そんな無理やり接触させるようなことはしないし、あくまで自然にだよ」 「健…。 マジでふざけんなよ…」 後悔したことを後悔する。 こいつらが易々と受け入れるような奴らではないことくらい、俺が一番わかっていたはずなのに。 含み笑いの健たちをよそに、俺は盛大な溜息を吐いた。 その日をきっかけに、白河さんを異様に避けるようになってしまった。 目が合えば逸らし、話しかけられてもあえて気づかないふりをする。 どうして、彼女のことになるとこんなにもスマートに対応できないのか不思議だった。 幼い頃から女性に接する時はレディーファーストを強いられてきた。 女性に優しくするのは当たり前なことだと叩き込まれてきたし、それもあって自然と振る舞えるようになった。 どうして俺は、彼女の前では躊躇してしまうのだろう。 男に触れるだけで蕁麻疹が出るだなんて相当過去に辛い思いをしてきたはずだ。 さりげなく遠目から彼女に視線を送る。 あんなに小さな身体で、一体君は何を抱えているのだろう?
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