11.純白な彼女

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「頼んだからわざわざ買って来てやったのに。 結局こんなに余ったじゃん」 両手いっぱいに抱えた箱型サイズのジュースの行き先をどうするかと頭を抱える健のぼやきは愚痴で溢れていた。 クラスメイトに頼まれてジュースを購入したのはいいものの、健チョイスの微妙なセンスは受け入れられなかったらしい。 「…全部甘党じゃん。 しかも全部クリーム系。 カフェオレ、いちごオレ、バナナオレ、アイスココア…。 こんなクソ暑い時に極甘のそれを飲みたいとは思わないって」 「だって俺の好みでいいって言ったのは向こうだぜ? はー、もったいねぇ…これ、どうすっかな…」 「じゃ、俺もーらい」 「あ」 健の手元から一つ奪うと、すぐにストローの封を雑に破って、丸い枠にグサッと刺した。 「うま」 一気に喉の奥が潤っていく。 「怜斗って甘党なの? いちごオレって…一番似合わねー…」 「…好きなんだから仕方ねぇじゃん」 あっち(欧米)はこういう甘党なものばっかあんだよ。 小さい頃からそっちの文化が強いんだ。 甘党に染まるに決まってる。 そう健に弁明してみたけれど、全然似合わないと笑っている。
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