11.純白な彼女

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ありがとうと真っ赤な顔で受け取る白川さんが視界に入り、またあの正体不明なドス黒い感情が胸の中で疼き出す。 これはただの庇護本能…そうに決まってる。 あの自信のない寂しそうな表情が忘れられないだけ。 男に触れられると蕁麻疹が出ると聞いて、同情の念が感化しただけ。 「って、楢崎くんもいちごオレとか飲むんだ!? 超意外!」 「コラ、平野。俺がいちごオレ飲んでて悪いかっ。 好きなんだから仕方ねぇだろ?  ……てか、健たちも一緒に笑ってんじゃねぇよ」 「だってウケるよな。 この顔でいちごオレって……」 「たしかに似合わない! 似合わなさすぎる…!」 「…お前ら…」 似合わないのは十分知っていますけど。 俺といちごオレの相違で盛り上がる奴らを目の前にして、絶対こいつらの前では二度と飲まないと決心する。
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