11.純白な彼女

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「結局野郎だけで花火大会かよ」 「健が誘ったんだろ?」 「人多いな~。 先に陣取りして正解だったわ」 お馴染の顔。 最初は断ったのに聞き入ってもらえず、結局ついて行く羽目になってしまった。 案の定辺りは大混雑。 日はとっくに暮れて普段なら涼しい時間帯だというのに、祭り独特の熱気に今からどうにかなりそうだ。 それは俺を除いてだけど。 ご丁寧に席の陣取りまでしてやがる。 しかも結構なベスポジ。 何が楽しくて、男だけで地域の花火大会に行かなければならないんだよ。 「…あの」 ふいに聞き覚えのない声が聞こえてきた。 その声の主は浴衣を着た女の子だった。 薄暗くて顔がよく見えないが、恥ずかしそうに俯いてることはわかる。 「俺?」 聞き間違いかと思い、彼女たちと同じ目線になるように腰を落とし、姿勢を低くした。 隣の友達らしき人物が「頑張れ」と拳を立てて応援してる。 その真ん中に立つ女の子はこくんと頷いた。 「この後…暇ですか?」 「…え?」 「いやっ、もしよかったら一緒に花火見れたらなって…」 「えっと…」 目の前の状況を掴むのに少し時間が掛かった。 女の子はぎゅっと唇を噛み締め、俺の返事を待っているようだった。 巾着のひもを持つ彼女の手が震えている。 勇気を出して言ってくれたんだと思うと、いたたまれなくなる。 ちらりと健の様子を伺うように目線を送ると、案の定ばっちり視線がぶつかった。
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