11.純白な彼女

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「行こ、白河さん」 白河さんを困らせる態度が許せなくて、後先考えずに彼女の腕を握った。 健たちに文句を言い放つと、そのまま彼女の腕を引っ張って歩いていく。 どこもかしこも押し合うような混雑の中、彼女とはぐれないようにその手を強く握り締めていた。 だけど、途中でハッと息を止めた。 「ごめん! てか、蕁麻疹大丈夫なんだっけ!? 普通に触ってしまったけど…最悪だ、俺…。 蕁麻疹、出てない!?」 すっかり忘れていた自分を責めた。 最悪だ。 俺がトリガーにでもなってしまったら、立ち直れない。 気が動転する俺とは対照的で、彼女は鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしている。 「…あの…じんましんって…?」 返ってきた彼女の言葉に耳を疑った。
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