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「…俺、白河さんに嫌われてるんだと思ってた」
「嫌ってなんかない!」
らしくない彼女の大きな声に、瞬きをしながら固まる。
「嫌うはずなんてないっ!
むしろ、私は楢崎くんのことがずっと好きで…」
彼女はそこでハッとして、両手で口元を隠した。
「あっ、あの…違くて…、いや、違くないんだけど……」
彼女は目を泳がせながら続けた。
「あの…っ、もう戻ろう!?
美菜達もきっと待っているだろうし」
「待って」
逃げるように腰を上げる彼女の腕を掴んで阻止する。
「あの…」
彼女の声がかすかに震えているのがわかった。
逃がさない。
絶対に。
彼女を見つめながらそっと近づくと、手を差し出した。
そして彼女の小さな手に絡める。
「…続き、言ってよ」
聞きたい。
白河さんの言葉で、声で。
「…な、楢崎く…好き…っ」
その涙声に、
俺はもう、自分を抑えることができなかった。
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