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「返事、聞かせてくれる?」
彼女に問いかけてみたけれど、首を傾げたまま応答がない。
くすっと思わず小さな笑みがこぼれた。
「だから、告白の返事?」
「こ、告白……?」
もしかして、届いてないのか?
「聞いてた…よね?
俺、”付き合わない?”って言ったんだけど」
「あ……」
すっかり忘れていたかのような表情だ。
「あれ、届いてない?」
わざとらしく聞き返した。
「ち、ちがっ」
それどころじゃないのか、いまだに乱れる呼吸を整えようと必死な白河さんがあまりにも可愛いらしくて、つい意地悪したくなる。
「あの…、よろしく…お願いします」
「ん。よろしく」
サラッと答えたけれど、本音は今にも飛び上がりたいほど気持ちが高ぶっていた。
彼女の手をぎゅっと握り締めると、俺たちはしばらくの間、満開に咲く花火を見つめていた…。
「そろそろ戻らないとな…。
健からメールきてる。今どこ? だってさ」
もう少し一緒にいたかったけれど、仕方がない。
「みんな心配しているのかも…早く戻ろう?」
彼女は恥ずかしそうに言った。
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