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「あの子はどうなるのです?私の罪が、あの子を恐ろしい宿命に導いてしまう…。」
ミュセルの嘆きは"選ばれし者"と啓示された我が子ディアンの行く末にあった。
「ミュセル、あなたはなぜそう思うのか?ディアンが不幸な宿命を定められたとは限らない…。」
「セオル様、あなたは知っておられるのでは?なぜディアンが神の予言を成す者として選ばれたのか…。私の罪ゆえに罰を成就する者としてディアンは生を受けたのでは?」
「ミュセル…わたしは知らぬのだ。わたしは"視る"神。ただ成されたことを識るだけだ。」
「嘘です…!あなたは私を助け"生きよ"と命じられたではありませんか…。」
「それはわたしに課せられた使命。わたしはそれを果たすのみ。その行き先は知らぬのだミュセル…」
琥珀色の瞳がじっとミュセルに注がれる。
「ミュセル、あなたは何に怯えている?何を隠している?」
「いえ…いいえ!何も隠していることなど…」
ミュセルは表情を堅くした。
「…。」
セオルは視線を外し、深く溜め息をついた。
「…もう、訊かぬことにしよう…。」
知ったところで、わたしは何をしてやることもできぬのだ…。
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