第4話~嘆き

3/4
前へ
/63ページ
次へ
「あの子はどうなるのです?私の罪が、あの子を恐ろしい宿命に導いてしまう…。」 ミュセルの嘆きは"選ばれし者"と啓示された我が子ディアンの行く末にあった。 「ミュセル、あなたはなぜそう思うのか?ディアンが不幸な宿命を定められたとは限らない…。」 「セオル様、あなたは知っておられるのでは?なぜディアンが神の予言を成す者として選ばれたのか…。私の罪ゆえに罰を成就する者としてディアンは生を受けたのでは?」 「ミュセル…わたしは知らぬのだ。わたしは"視る"神。ただ成されたことを識るだけだ。」 「嘘です…!あなたは私を助け"生きよ"と命じられたではありませんか…。」 「それはわたしに課せられた使命。わたしはそれを果たすのみ。その行き先は知らぬのだミュセル…」 琥珀色の瞳がじっとミュセルに注がれる。 「ミュセル、あなたは何に怯えている?何を隠している?」 「いえ…いいえ!何も隠していることなど…」 ミュセルは表情を堅くした。 「…。」 セオルは視線を外し、深く溜め息をついた。 「…もう、訊かぬことにしよう…。」 知ったところで、わたしは何をしてやることもできぬのだ…。 ・・・・・・・・・・
/63ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加