第5話~啓示

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わたしを呼ぶのは誰だ…。 あの森の深く、わたしを導くのは…。 泣いているのか? 何を悲しむ? お前はいつも微笑んでいるではないか。 わたしはお前のその姿が好きなのだ。 泣いてはいけない…。 悲しんではいけない…。 お前が泣くと、わたしの心も痛む。 「…。」 ヨシュアは目覚めた。 夢をみていた。 あの娘が泣いていた。 たまらなく愛おしく、自分の胸も悲しみに責められた。 気がつくと頬が涙で濡れていた。 ヨシュアはそれを手で拭い、少し笑う…。 自分はやはり"人"の子だ…。 神界の者は泣かない。 悲しみを知らない。 思いのままに過ごすことができるからだという。 では、わたしはなぜ泣くのだろう。 皆は言う。 "この世はすべてあなたのもの" わたしの欲するままに叶えられるのだと。 その自分がなぜ泣くのだろう。 悲しみや喜び。 そんなものをいつも胸に抱えるわたしは、やはり神よりも人に近い。 皆が決してわたしには告げぬ事実。 わたしは人を母に持つのだ…。 ・・・・・・・・・・
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