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朝がきた。
冷たいミュセルの身体にすがり泣き疲れたディアンに、セオルが静かに告げる。
「あなたの母親を弔わなくてはならない。わたしがミュセルを死者の地へ送ろう。」
ディアンは母の身体を連れ去ろうとするセオルに縋った。
「私も連れていって下さい。独りは嫌です…!私もその国へ行きたい…。」
だがセオルは冷たくディアンを母から引き離す。
「死者の地には、ただ虚無があるだけ。生きた魂を持つ者と死者の地が交わることはない…。ディアン、あなたが共に行くことはできない。」
セオルはミュセルの亡骸を抱き上げ、姿を消した。
ディアンはただ一人、静寂の森の中に取り残された。
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