第3話~孤独

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象牙の肌、月の雫を思わせる銀の髪。 神界に闇が訪れる頃になって、ようやくヨシュアは館に戻った。 サラは黙ってその前に跪く。 「おまえは不思議だな…。」 空の色をした瞳がサラを見つめ笑う。 「ずいぶん注意して戻ったつもりだったが…サラにはすぐにわかってしまう。」 「私はあなたが幼き頃より傍におりました…。それにあなたは陽の光を纏っておられる。闇もあなたを隠すことはできません。」 サラの答えにヨシュアは少しため息をついた。 「では、父もとうに知っておられるだろうな。わたしが禁を破っていることを…。」 「お叱りを受けるのはサラでございます。ヨシュア様、少しは控えてくださいませ。」 「いやだ…。」 「ヨシュア様!」 困り顔のサラを見てヨシュアは幼子のように笑った。 「そのうち、わたしに会って叱らずにはいられなくなる。前はいつだったかな…?父を見たのは…」 どこか寂しげにヨシュアの言葉がつぶやきに変わる。 「そのようなことをなさらずとも…。会いに行かれてよいのですよ…。」 ヨシュアは首を振った。 「父はわたしを嫌いらしいからな…。」 「決してそうではありません。」 「いい。戯れ言だ。」 ヨシュアは笑ってサラに下がるよう手で示した。 サラはヨシュアの前から辞して、ため息をつく。 "シオン様はたしかにヨシュア様を避けておられる…。" 決して嫌っているのではない。 おそらくは陽の光の中にいるヨシュアを見たくないのだろう。 サラはヨシュアの母であるミュセルを知らない。 ヨシュアの瞳は母と同じ色をしているという。 彼の明るく清らかな陽の気は母から譲り受けた質だという。 シオンが闇に住まう神となったのは、清らかな朝の光も、澄んだ昼の空も、美しい黄昏も、そして霞む地平の灰色も、見ずに過ごすため。 ヨシュアはシオンの喪失の証。 シオンが自ら負った傷は、彼自身予想しないほどの深手だったのだろう。 "それにしても…、ヨシュア様がこの頃になって頻繁に下界を訪れるわけは、父君への思いからのみであろうか?" 神界にいても、ぼんやりと心を彷徨わせていることも多い。 サラの胸のざわつきは、なかなかおさまらなかった…。 ・・・・・・・・・・
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