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席を立ち
逃げるように応接室を出た。
続きの間に通じる扉を閉めるや
なんとか。
「おお……あぁっ……!」
今にも
口から飛び出しそうな奇声を抑え込む。
そもそも
僕は誰だっけ?
似合わぬビジネススーツに身を包み
七五三みたいななりした色男。
鏡に映り込む僕は
そうさ何にも変わっちゃいない。
――天宮和樹。
天宮家の可愛い末っ子にして疫病神。
美しい妾の子にして道化の子。
それが今じゃ
この家の当主。
正式な跡取り。
ビジネスの全責任者ときてるんだから――まったく。
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