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「ごめんね。会議が長びいちゃって」
「許さない。あなたがいなくてどれだけ心細かったか分かる?」
自ら進んで
僕の右腕となってくれた奇特な人。
「ねえ、クタクタだよ。早くこっちへ来て抱きしめて」
「ちょっと待って。残りの仕事を片づけてから」
その上
他に類を見ない絶世の美男子に引き継ぐ。
「九条さんてば」
「待ってって……ちょ、和樹!?」
これ以上
僕が我慢するはずないだろ。
「あぁ……」
よろよろと
立ちくらみを起こしたフリして
僕は彼の膝の上に着地した。
「どうしたの?」
「ちょっと眩暈」
「嘘でしょう?」
この際
嘘も方便。
「慣れない話を聞きすぎたせいだよ――それか」
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