ある二人

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「えっと……貴女が『ポチ』さんですか?」 「えぇ……そうですけど。それが分かるということは、貴女が『NaOH』……『水酸化ナトリウム』さん?」 「ええっと、そうですね。間違っては無いです」 「なら良かった。じゃあ改めて自己紹介をさせてもらっても良い?流石にリアルで『ポチ』と呼ばれるのはちょっと……ね」 「そう……ですね。良いですよ」 「ありがとう。では改めて。私の名前は犬飼 沙江(イヌカイ サエ)。この子はペットのポチくん。こんなものかしら?」 「えっと……良いと思います。じゃあ……私の番ですね。私の名前は七海 奈緒(ナナミ ナオ)。この子はペットのナオ。こんなものですかね……?」 「えぇ。良いと思うわ」 「えっと……犬飼さんはおいくつなんですか?……なんて、図々しいですかね……」 「いや、全然良いわ。沙江と呼んでくれても構わないし。ちなみに年齢は17よ」 「えっ!?17なんですか!?」 「?えぇ、そうだけど」 「私も17なんですよ!」 「あら」 「まさか犬飼さ……沙江さんが同い年だったなんて……!大学生ぐらいだと思ってましたよ!」 「私も同い年だとは思わなかったわ。貴女……奈緒ちゃんは中学生だと思っていたわ」 「あはは……。よく言われます……」 「……にしても、ペットに自分の名前を付けるなんて、貴女って変わり者なのね」 「偶々ですよ。この子実は拾い猫でしてね、名前をつけるに当たって悩んでてたらこの子、ずっと『ナ~オ』って鳴いてたんですよ」 「だから『ナオ』なのね。……もしかしてアバター名も……?」 「ん~、まぁそうですね。中学の時に初めて見てびびっときたんですよね。『あっ、コレ私の名前だ』って」 「『水酸化ナトリウム』じゃなかったのね……」 「別に気にすることじゃ無いですよ。『クラスルーム』内だと、皆そう読んでましたから」 「なら良いんだけど……」 「沙江さんもアバター名とペットの名前が同じですけど、これにも訳が……?」 「いや、特に無いわ」 「無いんですか……」 「最初は普通に『サエ』にするつもりだったんだけど、アバターコスチュームの中に犬耳があって、それを付けたときに似合う名前を考えてたら、『ポチ』が似合うと思って名前変更しちゃっただけ」 「ある意味訳ありですね」 「ある意味ね」
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