ある二人

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「……それで?今日はどこにつれていってくれるのかしら」 「えっと……、今日はですね、私の友達の家に―――」 「奈緒ちゃんの友達の家!?」 「いやあのえっと―――」 「お互いの家ならまだしも、片方の友達の家なんてハードルが高すぎるわ……!」 「いや、だからですね―――」 「多少知っている人ならまだしも、全く知らない人の家だなんて……!」 「沙江さん……?話を聞いてもらっても……?」 「痛い痛い……!聞く!聞くから!だから肩を思いっきり握るの止めて!」 「分かれば良いんですよ」 「ハァ…ハァ…。……貴女、見かけによらず怖いわね」 「人は見かけによりませんよ。……話を戻しますね」 「えぇ、良いわ」 「で、その友達の家というのはカフェなんですよ」 「成程。つまり最初からカフェと言っていれば済む話だったのね」 「それはそうなんですけど、そのカフェは普通と少し違ったカフェなんで、そこを強調したかったんですよ。あわよくば、友達に沙江さんを紹介したいですし」 「私を紹介する必要があるのかしら?」 「いや~、今日会うことをその友達に自慢しちゃったので……」 「会わせてほしいと」 「そういうことです」
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