フェニックス

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ヨーロッパと中東で古くから知られた伝説の鳥。不死鳥とも呼ばれる。 全世界で一羽しか存在せず、長大な寿命を持つ。頭頂部には冠があり、のどには房がついている。首の部分は金色の羽で飾られ、体は深紅。尾は鮮やかな青で、バラ色もまじる。 めったに姿を現さないが、生涯に一度だけ、大勢の人々に目撃される。五百四十年生きた後、死期を悟ると、シナモンや乳香樹の小枝などを集めて、香気に満ちた巣をつくり、その中に身を横たえる。命が終わると、骨と随から小さなウジ虫が現れ、それがひな鳥になり、やがて成長になる。 成長の最初の仕事は父親の亡骸をエジプトのヘリオポリス(太陽神ヘリオスの都市)まで運ぶことだ。鳥の王にふさわしく、多くの鳥たちを背後に従え、優雅に飛行するとされた。人々がフェニックスを目にするのは、この時だけといわれている。
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