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そうして更にその次の日の日曜日も、私は早起きしてジョギングした。
そしてその後は、ウォーキングも兼ねて街中へと徒歩で出掛けた。
いろんなお店を巡って我ながら充実した一日を過ごした私は、
辺りが暗くなる頃にアパートへと帰宅した。
と…
帰宅途中に、
私が住むアパートの近くに有るゴミステーションの前を通り掛かると…
一人のポロシャツの男の子がゴミ袋を持ってポツンと立っている姿が目に入ってきた。
「…ははぁーん…」
と、それを見た私は内心で思った。
いるのよねぇ…。
ゴミの日の前の晩に、
ズルしてゴミ捨てちゃう人…。
私が住むアパートのゴミの日は本来、明日の月曜日である。
『ゴミは、ゴミの日の前日ではなく、ちゃんと当日の朝に捨てるように』
と、いう決まりが、なぜかこのアパートには有るのだ。
(別に前の日に捨てても問題無いのでは…と私は思うのだが)
しかし、月曜日の朝と言えば、何かとバタバタするものだ。
この男の子みたいに、前の日の日曜の晩にこっそりゴミを捨ててしまう人って結構、いるんじゃないだろうか。
と…
「お、おやすみなさい…」
私と目が合ったその男の子が、何となくバツが悪そうに笑顔で挨拶をしてきた。
「あ、おやすみなさい」
と、私もにこやかに笑顔を返すと、その場を通り過ぎ、自分のアパートへ入った。
今の男の子…
どこかで見た事有るような気が…。
まあ、このアパートに住んでる子なんだろうな…。
私は、どちらか言うとご近所付き合いが希薄な方である。
それでも、朝晩にアパートの廊下で住人の人達とすれ違う時には挨拶ぐらいはする。
まあ、今の男の子はそのうちの一人だろう。
私は、アパートの玄関口を通って自分の郵便受けを見てみた。
が…中は、相変わらず空っぽで、実家からの手紙は入っていなかった。
「う~ん。
たまに、私の方から実家に電話してみるかな…」
なんて事をぼんやりと考えながら、私はエレベーターのボタンを押して中に乗り込んだ。
『チーン』
やがて、エレベーターが私の住む階に到着したので、私はエレベーターを降りて廊下を歩いた。
歩きながら…
何とはなしに、さっきの男の子の心中を察してみる。
いやぁ…
私も、あの男の子みたいにズルして前の晩にゴミ捨てている所を同じアパートの住人に見られたりしたら…
あんな風に、
バツが悪そうに挨拶しちゃうだろうなぁ…。
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