召喚

3/3
前へ
/3ページ
次へ
彼らを襲った危機は食糧危機だった。 錬金術の発達により様々な触媒が黄金を始めとする金属へと変えられた結果、 自然界のバランスを崩し、何もせずとも次々と有機物が金属へと変化するように暴走し始めた。 かろうじて人体の金属化を防ぐ手立ては確立したものの、 植物も家畜もすべて金属と化してしまった。 このままでは同族を喰らうしか術がないが、彼らの宗教観ではそれは赦されなかった。 そこで、錬金術とともに研究されていた召喚術に頼った、ということらしい。 ・・・瞳の潤んだ美女達に浮かぶ表情が「食料にありつける歓喜」である事に気がついた。 気がつこうが気がつくまいが、僕の運命は錬金術のように変わりはしないのだけど。 黄金に輝く曲刀を見上げながら、そう言えば昔読んだ本に、触るものすべてが黄金に変わる能力を与えられた王様の話があったな、とぼんやりと思い出した ・・・ミダース、だったっけ・・・
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加