第3章 #2

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「ありがとう、ヒロ。一生恩にきる!」 陵を待つ間、ソワソワと落ち着きの無い彩香が嬉しそうに私に笑顔を向けた。 それに、小さく微笑み返す私は内心気が気じゃない。 「彩香、わかってるよね?今日が最後だからね。」 「わかってるってば~。」 足をバタつかせた彩香のバレバレな嘘。 彼女は健吾に呼ばれれば、私との約束なんか忘れてノコノコとこの場所に通うだろう。 金に困っている……と、運命の男がいえば平気で保証人になってしまうような女なのだ……。 あの時、私が契約書を破り捨てなければどうなっていたか。 思い出すだけでもゾッとする。
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