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「ありがとう、ヒロ。一生恩にきる!」
陵を待つ間、ソワソワと落ち着きの無い彩香が嬉しそうに私に笑顔を向けた。
それに、小さく微笑み返す私は内心気が気じゃない。
「彩香、わかってるよね?今日が最後だからね。」
「わかってるってば~。」
足をバタつかせた彩香のバレバレな嘘。
彼女は健吾に呼ばれれば、私との約束なんか忘れてノコノコとこの場所に通うだろう。
金に困っている……と、運命の男がいえば平気で保証人になってしまうような女なのだ……。
あの時、私が契約書を破り捨てなければどうなっていたか。
思い出すだけでもゾッとする。
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