第3章 #2

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「……どうぞ。1959年物。保存状態が良いから美味しいよ?」 そう言って、彼が私にグラスを差し出した。 赤、ブルゴーニュ。 「………………」 「ハハッ……、変な薬とか混ぜてないから。」 「……そんなの疑ってないわよ。」 嘘。 本当は疑っていた。 でも、認めるのが嫌で、私はグラスを受け取り一口口をつけた。 「………………っ」 口の中に熟成された香りが広がり、思わず息が漏れる。 「ね。俺が言った通り。」 と、満足そうに頷いた陵も一口。 どうやら、何も混入されていないのは本当らしい。
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