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「……どうぞ。1959年物。保存状態が良いから美味しいよ?」
そう言って、彼が私にグラスを差し出した。
赤、ブルゴーニュ。
「………………」
「ハハッ……、変な薬とか混ぜてないから。」
「……そんなの疑ってないわよ。」
嘘。
本当は疑っていた。
でも、認めるのが嫌で、私はグラスを受け取り一口口をつけた。
「………………っ」
口の中に熟成された香りが広がり、思わず息が漏れる。
「ね。俺が言った通り。」
と、満足そうに頷いた陵も一口。
どうやら、何も混入されていないのは本当らしい。
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