第3章 #2

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「……ごめん、彩香。私、先に帰るわ」 私が席を立つと、彩香は「ええ……」と、情けない声を出し渋り顔を見せた。 でも、それ以上は引き止めようとはしない。 私の気が変わらないことを彼女は知っている。 これが、私達が友人でいられる最大の理由だろう。互いに踏み入るラインがしっかりとしてる事はとても楽だった。 「じゃあね。また、後で」 「りょ。オツー」 彩香とあっさりとした挨拶を交わした後、呆気に取られる健吾と無表情の陵の間を強引にすり抜けて、私は階段を駆け降りた。 帰る と、言っても行き先は彩香のアパート。 ここ二週間はずっとそうしている。
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