第3章 #2

31/31

246人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
「そりゃあ……、こっちも痛いよ。問題児だろうと健吾はウチのナンバー……、損得でいうならむしろマイナスだ。」 「………………っ」 突然、陵の目付きが変わった。 ソッとワイングラスをテーブルに置き、私との距離を縮め……言葉を付け足す。 「ここから先は……、察しの良いヒロなら。言わなくてもわかるだろ?」 彼の指先が、私の頬を掠め…… 流れるようにうなじのラインをなぞった。 「っ……最初からそのつもりだったの……」 「……俺もこんなの初めてだよ。一目見ただけで……お前が欲しいと思った。なぁ……、ヒロ。」 私の耳元、低い声で囁かれた言葉は 「一目惚れって……、信じるか」 彼らの常套句。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

246人が本棚に入れています
本棚に追加