第4章

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「………………ッ」 湿り気のある息を、プハっと吐き出した陵が上体を起こして私を見下ろした。黒い前髪の向こう、欲情したように細くなる彼の瞳に今の私が映り込み、全身の毛が逆立つ思いだった。 「言っとくけど、これは合意だよ?嫌がる女を抱く趣味は俺には無いから。」 「……どうでもいいから。さっさと終わらせて。」 「はぁ……。俺がヒロを性欲処理の道具みたいに扱える訳がないだろ……?ちゃんと……こっちも。俺に溺れて貰わなきゃ。」 小さな笑みを浮かべた陵が、私の左胸をトントンっと指で叩く。 「……ありえない。SEXなんてどれも同じ。早いか遅いかの違いだけよ。」 そう、言い返して私は目を閉じた。 暗闇の中でなら……、相手が誰だとか、ここが何処だとか。 余計な事を考えなくて済むと思った。
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