第3章 #2

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「…………待てって」 突然、掴まれた左手首。 心の中で舌打ちをして、振り向くとそこに立っていたのはさっきの店で別れたばかりの陵だった。 夜の街の背景が笑いたくなる位お似合いの彼は、相変わらずの無表情で私を見据えている。 驚くよりも先に、淡白そうな彼の大胆な行動……不思議でならなかった。 「名前。」 「は……?」 「名前教えてよ。」 わざわざそんな事を聞きに、ここまで追い掛けて来たの?……呆れた。
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