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第4章 #2
「この音……。聞こえるでしょ?」
耳を塞ぎたくなるような蜜音。勢いは増してゆく。
「……あッ…………、……っ!!」
彼の指先が、天上をつつき上げると同時に……、私は腰を浮かせ、そして果てた。
「ふふっ……。早過ぎだよ。誰かに調教でもされた……?」
「…………っ」
目の横をツーっと涙が通り過ぎる。
やがて、聞こえて来た冷たい金属音、身体に陵の体重が重たくのし掛かった。
─────落ちる所まで落ちたら……、後は這い上がるだけ。
私の人生はまだドン底では無かったのかと……笑いたくなった。
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