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「すまないね……。君の手料理はまた次回になりそうだ。」
「え……?」
そう言って、軽く髪を掻いた誠さんの視線を追うようにして、フロントガラス越し、私も正面に目を凝らした。
そこには、私達の行く手を阻もうと両手を広げ立つスーツ姿の男。
自らの生死等興味が無いのか、ジッとこちらを睨みつけそこを退こうとはしない。
執念……、とでもいうべきか。
私はその男の顔をハッキリと捉え、ゴクリ息を飲んだ。
「っ………………」
──結城 恭哉。
煮ても焼いても食えない男。
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